

2026年度バイオインフォマティクス川柳・第一週目優秀作品
先週から、学部1年生の必修科目「バイオインフォマティクス」が始まりました。 初回は「バイオインフォマティクス入門」として、DNAやタンパク質などの生命情報をどのように調べ、解析し、利用するのかという全体像からスタートしました。 続いて、科学情報の信頼性、論文と総説の違い、生成AIを使う際の注意点を説明し、その後はPubMedとGoogle Scholarを使った文献検索の実習を行いました。キーワード検索だけでなく、AND・OR・NOTを使った検索式や、MeSHを利用した検索にも挑戦してもらいました。 後半では、今後の解析に必要となる分子生物学の基礎事項も復習しました。今後はGenBank、UniProt、BLAST、PDB、AlphaFold DB、KEGGなど、さまざまな生命科学データベースを使っていきます。 そして初回の宿題は、毎年恒例の「バイオインフォマティクス川柳」です。研究室のメンバーにも優秀作品を選んでもらいました。 今回の優秀作品は以下の5句です。 「生命と 情報まぜて 開く未来」 「何者だ 入国審査 細胞膜」 「四文字の 違いで生


溝口さん、お誕生日おめでとう!Happy Birthday, Yuka!
本日は、溝口さんの誕生日をみんなでお祝いしました。 B4の長谷川さんからは、溝口さんが気に入っているプーさんのぬいぐるみがプレゼントされました。 このぬいぐるみ、実は単なる置き物ではありません。大きなお腹の中には、なんと毛布が入っているとのこと。 いつもお腹を空かせているプーさんの大きなお腹の中から、どこでもお昼寝できる毛布が出てくるとは、なんだかドラえもんのポケットのようです。 寒い日のひざ掛けにも、研究室でちょっと仮眠したいときにも活躍しそうですね。 長谷川さん、ナイスアイデアです。 私は、季節のケーキということで、焼き栗をトッピングしたパウンドケーキを準備しました。 ケーキの中には、ラム酒にしっかり漬け込んだドライフルーツをたっぷり入れ、星やハートのカラースプレーで少し華やかに。さらに焼き上がったケーキの上にもラム酒を加えた、ちょっと大人向けのケーキです。 焼いている間に栗が少し沈んでしまい、見た目は想定どおりとはいきませんでしたが、食べてみると栗はケーキの中でしっかりと存在感を発揮していました。 学生たちがきれいに切り分けてくれて、みんな


金曜CNSカフェ:今週のおすすめメニュー 生命を「読む・設計する・組み替える」RNAでDNAを組み替える仕組みから、ATP synthaseにつながるTCA cycle、1残基ずつ読むペプチド、細胞を壊さないRNA-seqまで
今週も、Cell、Nature、Science誌の最新号から、気になった研究を持ち寄って金曜CNSカフェを開催しました。 今回は、RNAを使ってDNAを組み替える新しいゲノム編集システム、ATP synthaseに直接結合したTCA cycle酵素、ペプチド配列を1残基ずつ読み取るナノポア技術、構造を持たないタンパク質の合理的設計、標的タンパク質を丸ごと分解する分子接着剤など、分子を「観察する」だけでなく、読み、設計し、操作する研究が多くそろいました。 さらに、生きた細胞を壊さずに遺伝子発現を追跡する技術、ファージの酵素活性そのものを感知する細菌の免疫、そしてp53を失った細胞が作るWntシグナルの空間パターンなど、時間と空間の中で生命現象を捉える研究も登場しています。 それでは、今週のおすすめ8品です。 1品目:RNAでDNAを組み替える「ブリッジ組換え」 Nature Japan 日本語要約ブリッジ組換えの方向性を規定する構造機構 NatureStructural mechanism governing the directionality


11年半をともにした一期生の旅立ち ― 伊藤くん、奈良先端大へ
西野研の一期生として、11年半にわたって研究室に在籍した伊藤くんが、10月から奈良先端科学技術大学院大学で新しいキャリアをスタートしました。 思い起こせば12年前、私が理科大に着任する前に行った卒研説明会で、当時3年生だった学生たちに研究室の紹介をしました。その後、西野研の一期生として4名が卒研配属され、翌4月の研究室スタートから伊藤くんとはずっと同じ時間を過ごしてきました。 11年半という期間は、改めて考えると本当に長いものです。 研究室に来れば当たり前のように伊藤くんがいて、研究や学生のことを相談しながら日々を過ごしてきました。それが突然なくなったためか、この一週間ほどは私自身も少し「伊藤ロス」のような状態になっていたため、この記事の作成もすっかり滞っていました。 伊藤くんの最初の印象は、寡黙で几帳面。同じ4年生の中でも、周りから一目置かれる存在でした。 学生時代にはスターバックスでのアルバイトを経験し、そこでオペレーションを効率よく進める考え方を身につけたようです。研究においても、物事をきちんと整理し、一つ一つ問題を切り分けながら、納得でき


バイオカップ2026 ― チャンピオンリーグ進出、そして6年ぶりの交流会
週末に、生命システム工学科の恒例スポーツイベント、バイオカップを開催しました。 今回は田村研究室が担当で、競技は例年と同じくソフトバレーボールです。 午前中は予選リーグを行い、その結果によって、午後からの上位のチャンピオンリーグと下位のチャレンジリーグに分かれます。 西野研究室は、高橋研究室、西山研究室と同じ組になりました。 朝があまり得意ではないメンバーの多い研究室なので、果たして試合開始までに人数が揃うのか少し心配していましたが、何とか開始時間までにはある程度集合し、無事に試合を始めることができました。 少し冷や冷やしました。 初戦の相手は高橋研究室。 実力的には同じぐらいで、序盤から接戦になりました。 この時点では13:13の同点。 ソフトバレーボールは15点先取なので、あと2点をどちらが取るかという緊張する展開です。 最後まで僅差の試合になりましたが、何とか2セットとも取ることができました。 まずは幸先の良いスタートです。 続く相手は西山研究室。 西山研はバレーボール経験者も多く、毎年上位に入る強豪研究室です。 この時間になると西野研のメ


金曜CNSカフェ:AIでタンパク質を伸び縮みさせる―哺乳類が作る『単体硫黄』まで
今週はCell誌がお休みのため、Nature誌とScience誌から注目した9報を、8つのテーマに分けて紹介します。 今週の論文を眺めていると、生命科学でこれまで「決まったもの」と思っていたものが、実はかなり柔軟に変化し得ることを感じます。AIを使えば、タンパク質のamino acid sequenceだけでなく、長さそのものを設計変数にできる。約4,000残基もある巨大なvirus polymeraseも、構造を解けばRNA合成に合わせて形を変える精巧な分子機械として見えてきます。 一方、構造生物学では、精製したタンパク質を取り出して見るのではなく、植物の光化学系をnative membraneの中にある状態のまま観察する研究も登場しました。 後半では、ミトコンドリアがヘム不足を感知する仕組み、哺乳類が細胞内で作っていた単体硫黄S₈、4,000万年以上たっても「跳び続けている」遺伝子、高脂肪食と大腸がん転移をつなぐceramide、そして腸管で炎症を抑えるfibroblastまで取り上げます。 それでは、今週のおすすめ8品です。 1品目:AIで


研究成果:ニワトリIMPACTタンパク質のAncientドメインの立体構造を明らかにしました
このたび、西野研究室で進めてきたニワトリ由来IMPACTタンパク質の構造研究が、MDPIの学術誌 Crystals に掲載されることになりました。本研究は、2023年に修士課程を修了した井戸海来さんを中心に進められたもので、論文タイトルは“Crystal Structure of the Ancient Domain of Chicken IMPACT Reveals an Evolutionarily Conserved Candidate Functional Surface in the IMPACT/YigZ Family”です。 今回、私たちはニワトリのIMPACTタンパク質が持つ Ancient domain(Ancientドメイン) の結晶構造を、2.0 Å(オングストローム)という高い分解能で決定しました。 IMPACTとは? IMPACTは、細胞がアミノ酸不足などのストレスを受けた際に働くタンパク質で、タンパク質合成の調節に関わるGCN2という酵素の働きを制御することが知られています。 真核生物のIMPACTには、大きく分けて


金曜CNSカフェ:今週のおすすめメニュー構造で未知を見つけ、RNAでDNAを読み、人工転写因子で細胞を作り変える
今週もCell・Nature・Scienceから、気になった生命科学研究をピックアップします。 今週は私が山梨大学で特別講義を担当しているため、いつもの金曜15時からの対面での「CNSカフェ」はお休みし、オンラインでの情報共有とします。今回は、Cell、Nature、Scienceの9報を8つのテーマにまとめました。 今週の論文を眺めていると、「生命はどのように情報を読み取り、それを機能へ変換しているのか」という共通したテーマが見えてきます。タンパク質の「形」から未知の機能を発見する研究、RNAがDNAを飛び飛びに認識するCRISPR以前の仕組み、栄養状態をcodon単位の翻訳へ変換する仕組み、そして自然界には存在しない転写因子を人工的に作り出す研究まで、生命情報の読み方と書き換え方を考えさせられる一週間です。 1品目:配列では見つからなかった「GPCR様タンパク質」が細胞同士をつないでいた Nature TM184C is a GPCR-like regulator of intercellular exchange and autophagy


金曜CNSカフェ:今週のおすすめメニュー AIでタンパク質の進化を広げる――ウイルスの膜突破、遺伝子の「核内住所」、生きた糖尿病治療まで
今週はCell誌がお休みのため、Nature誌とScience誌から注目した8報を紹介します。 今週の論文を眺めていると、生命科学で「操作できるもの」の範囲がますます広がっていることを感じます。AIを使ってタンパク質を完成させるのではなく、より進化しやすい出発点を作る。細胞の中で大量に存在するrRNAを増やすことで、幹細胞の性質そのものを変える。さらには、遺伝子が核の「どこに置かれているか」を動かすことが、遺伝子発現を制御する重要な要素であることも分かってきました。 一方で、rotavirusがどのように宿主細胞の膜を突破するのか、糖脂質合成の入口を担う膜酵素がどのように働くのかという、構造生物学らしい研究も充実しています。 後半では、免疫チェックポイントPD-1の意外な作用機構、血糖上昇を感知して治療因子を作る「生きた薬」、そして小児期の抗がん剤治療が正常細胞のゲノムにどのような痕跡を残すのかという研究まで取り上げます。 それでは、今週のおすすめ8品です。 1品目:AIで「進化しやすいタンパク質」を作る AI-redesigned starti


金曜CNSカフェ:今週のおすすめメニュー 構造から免疫、ゲノムまで「設計する」――マラリア侵入阻害、人工免疫、分子接着剤、そして光を使わない超解像へ
今週のCell、Nature、Scienceでは、生命現象の仕組みを理解したうえで、それを人工的に再設計する研究が特に目立ちました。 マラリア原虫が赤血球へ侵入するときに使う巨大な分子装置を構造解析し、その情報から侵入阻害タンパク質を作る研究。病原体に合わせて植物の免疫受容体そのものを設計する研究。CRISPR–Casが他の抗ファージ防御システムを監督しているという多層免疫。そして、タンパク質間相互作用やゲノム編集を人工的に操作する新しい技術へと続きます。 後半では、腫瘍がT細胞からROSシグナルを奪う意外な免疫逃避機構、異なる神経変性疾患に共通するTOP1依存的DNA損傷、さらにレーザーを使わずに長時間の超解像観察を可能にする新しい顕微鏡法を取り上げます。 それでは、今週のおすすめ8品です。 1品目:マラリア原虫の侵入装置を構造から解き、阻害タンパク質を設計する Structural basis for host membrane binding and remodeling by invading malaria parasites Cell
