2025年度生化学川柳第三週目優秀川柳賞/2025Biochemistry Haiku prize week3
- nishinotatsuya
- 5月7日
- 読了時間: 2分
先週はアミノ酸について学びました。
タンパク質を構成するアミノ酸は、アミノ基とカルボキシ基を同時に持つ炭化水素化合物で、中心のα炭素に側鎖(R基)が結合しています。この側鎖の性質により、アミノ酸は非極性・極性・荷電性など多様なグループに分類されます。生体内には100種類以上のアミノ酸が存在しますが、タンパク質を構成する標準アミノ酸はわずか20種類で、すべてL型のα-アミノ酸です。グリシン以外は不斉炭素を持ち、光学異性体として存在します。
各アミノ酸の側鎖の性質により、水に溶けやすいものもあれば、疎水性が高いものもあり、これがタンパク質の立体構造や機能に大きく関与しています。たとえばチロシンやトリプトファンといった芳香族アミノ酸は紫外線を吸収し、タンパク質の定量に使われます。また、アミノ酸は酸塩基としても働き、pHに応じて電荷状態を変化させます。等電点では全体の電荷が中性となり、この性質は電気泳動やクロマトグラフィーによるタンパク質の分離にも利用されます。
アミノ酸がペプチド結合により連結されることで、ペプチドやタンパク質が形成されます。これらはホルモンや毒素、酵素などとして多様な機能を果たします。タンパク質の性質を調べるためには、その一次構造(アミノ酸配列)を明らかにすることが重要であり、古典的にはエドマン分解、現代では質量分析法が用いられます。アミノ酸配列の比較により、種を越えた進化の道筋をたどることも可能になります。
さて先週の優秀川柳は以下の5句です。
– 1本の 鎖が紡ぐ 命かな
– アミノ酸 側鎖で増える 多様性
– めぐり逢い 結ばれゆくは ペプチドで
– 知りたいな 分離されない 愛情を
– 配列の GAPが示す 進化過程
出会いや命、結びつきに関するものが多いのは、アミノ酸が生命の基本構造を織り成す構成要素で、それぞれの結びつきが複雑な機能や情報を生み出していることを象徴しているのかもしれません。
以下の写真はリボソームの結晶構造です。
リボソームは、すべてのタンパク質を翻訳によって合成する場であり、その構造が明らかになったことが2009年のノーベル化学賞の授賞理由のひとつとなりました。
アミノ酸の並びが、命の設計図を実体化するこの過程において、いかに重要であるかを物語っています。
来週はいよいよ、タンパク質の三次元構造について学びます。
アミノ酸の配列がどのように立体構造へと折りたたまれ、生命の機能を支えるか、その謎に迫っていきましょう。
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