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構造生物化学実験

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遺伝子組み換え技術とタンパク質デザイン

実習のねらい

近年の遺伝子組み換え技術の進歩により、天然における存在量が少ないタンパク質や、天然に存在しないデザインタンパク質を大量に発現精製することが可能になっています。いうまでもなくタンパク質は私たちの生命活動を支える重要な生体高分子です。タンパク質がどのような形をしてどのように機能するかを知ることで、生命現象を正しく理解できます。タンパク質はアミノ酸の一次配列によって立体構造が決定し、タンパク質の立体構造や機能を正しく理解することで、一次配列の突然変異によって生じる疾患や遺伝病の影響を理解できます。また、近年は計算機の技術進化によって、タンパク質に望みの機能を保有させたデザインタンパク質が作られています。もともと下村博士が9000匹のオワンクラゲから精製した緑色蛍光タンパク質(GFP)です。今では大腸菌や酵母、マウスなど各種生物で組換えタンパク質として発現、利用されています。さらには様々な色の蛍光を発する変異体が作成され、耐熱性を有するもの、通常の半分の大きさでできている人工蛍光タンパク質など、様々な応用が行われています。

本実習ではモデルタンパク質として、これまで各研究室の実習で取り扱ってきた緑色蛍光タンパク質GFPと、デザインタンパク質耐熱性緑色蛍光タンパク質TGPを取り扱います。組換え発現ベクターの配列や構築について解析ソフトウェアSnapGeneを使って学び、組換えタンパク質の発現条件による折れたたまりや可溶性の違いについて実験を通じて学びます。また天然タンパク質では困難な、特異的な相互作用によるアフィニティー精製を行い、精製タグの部位特異的プロテーゼによる切断を学びます。

さらにタンパク質の立体構造は理科大が契約している分子描画ソフトDiscoveryStudioを使います。Discovery Studioは分子の表示だけでなくタンパク質の安定性や変異によるタンパク質立体構造への影響、創薬に必要なタンパク質表面の凹凸解析、小分子のドッキングなど様々な解析が可能です。ソフトウエアの演習と実験を通じて遺伝子組換え技術とタンパク質デザインについてより深く学習します。

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