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放射光測定@SPring8

12月3日から5日にかけて、兵庫県播磨地方にある放射光施設「SPring-8」での放射光測定に行ってきました。

新型コロナウイルスの影響以降、放射光施設に直接赴かず、凍結した結晶を宅配便で送付して測定を依頼するケースが一般的でした。しかし、今回は溶液測定の必要があったため、現地で測定を行いました。

SPring-8では、多岐にわたる実験が行われています。私たちの結晶や溶液を使った測定に加えて、電池や生体材料の観察、さらには「はやぶさ」が持ち帰ってきたイトカワの岩石の解析なども実施されています。放射光を使うことで、物質を壊すことなく内部構造や原子レベルの詳細な性質を明らかにすることが可能です。

施設内部は巨大な実験設備で構成されており、それぞれの実験エリアは「ハッチ」と呼ばれる鋼鉄製の部屋で囲まれています。この中で、放射光リングから生成される放射線を試料に照射し、実験を進めます。

今回、私たちは「X線小角散乱(SAXS)」を用いて溶液中の分子の形状を調べる実験を行いました。以下の写真がその装置です。中央に見える鋼鉄製の筒の前に試料を設置し、そこから放出される散乱光を背後の検出器で観測します。

今回の測定では、M2の大力さんが準備したいくつかの試料を調べました。X線小角散乱では、試料の性質によっては分子の形状がうまく捉えられない場合もありますが、今回の測定では非常に鮮明な結果が得られました。得られたデータは結晶構造とも非常によく一致し、これまで見たことがないほど綺麗な形状が確認できました。

さらに、結晶が得られていないサンプルについても、測定結果が予測された形状と一致したため、非常に有意義な実験となりました。

実験は深夜まで続いたため、宿舎に戻る頃には外は真っ暗でした。

しかし、夜空には満天の星が広がっており、疲れも忘れるほど美しい光景でした。

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