バイオインフォマティクス教育セミナー2023/Bioinformatics Seminar 2023
12月11日から12月14日まで、本年度のバイオインフォマティクス教育セミナーを開催しました。
国内外の専門家が集まり、バイオインフォマティクスの様々な分野の講義や演習が行われました。
昨年同様、対面とオンラインのハイブリッド形式で行われました。
私は、2日目にディスカバリースタジオを使用した創薬リガンド評価の演習を行いました。
今年は、ターミナル室のPCが廃止され、代わりに仮想PC上での演習を行い、約40名の学生がオンラインで参加しました。
3日目には、産業技術総合研究所の富井先生が葛飾キャンパスで講義を行ないました。
今回は「深層学習モデルによるタンパク質立体構造予測の基礎と応用」という演題名です。
タンパク質立体構造予測プログラムAlphaFold2の原理の紹介から、富井先生が最近開発したリガンド結合予測プログラムPoSSumとAlphaFold予測構造を組み合わせたウェブサーバーのデモンストレーションを紹介してくれました。
4日目には、シンガポール国立食品バイオテクノロジーイノベーション研究所のアルムガム先生によるケミカルジェネティクスの講義がありました。
アルムガム先生はインド出身で、私は留学中に同じ研究室でした。
共著の論文もあり、お互い年齢も近いことから、このセミナーではいつもお世話になっています。
今回は「ケミカルジェネティクス:低分子の鍵を使って生体システムを解き明かす」という演題名です。古くから知られている生薬は生体内で特定の酵素やタンパク質、遺伝子の機能を抑制したり促進したりします。アスピリンは解熱効果のある化合物で、現在は化学合成されていますが、古くはヤナギの樹皮から抽出したエキスが使われていました。この様な化合物を使って体の仕組みを理解する手法はケミカルジェネティクスと呼ばれています。アルムガム先生は学生たちがより理解しやすくなるよう、ゆっくりと丁寧な説明を心掛けていました。
講演の最後には、いくつか質問があり、とても有意義なセミナーになりました。
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