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2026年度生化学川柳第十三週目優秀川柳賞/2026Biochemistry Haiku prize week13

  • 7月22日
  • 読了時間: 3分

先週はバイオシグナリングについて学びました。


私たちの体では、細胞の内外で起こるさまざまな変化を適切な生命現象へと結び付けるために、精巧なシグナル伝達ネットワークが構築されています。


細胞膜は疎水性の脂質二重膜からできているため、水やイオン、多くの情報伝達分子はそのままでは膜を通過できません。そのため細胞は、細胞膜上に配置された受容体を利用して外界からの情報を受け取り、それを細胞内へ効率よく伝達しています。


細胞膜の面積や細胞質の体積には限りがあるため、細胞は必要な種類の受容体だけを細胞表面に配置し、その後の細胞内では共通のシグナル伝達装置を利用します。また、細胞内では複数の酵素やタンパク質が連続して活性化されるシグナルカスケードを形成することで、わずかな刺激を何万倍にも増幅し、確実な細胞応答を引き起こします。


今回の講義では、シグナル伝達系に共通する6つの特徴について学びました。受容体は特定の分子だけを認識する「特異性」、少量の刺激を大きな応答へと変える「増幅」、複数の経路を組み合わせる「モジュール性」、不要になったシグナルを停止する「脱感作」、複数の情報をまとめて判断する「統合」、そして必要な場所だけで反応を起こす「局所応答」です。これらの仕組みにより、細胞は刻々と変化する環境に柔軟かつ正確に応答しています。


さらに、生体には代表的な4種類のシグナル伝達機構が存在することも学びました。Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、開口型イオンチャネル、そして核内受容体です。ホルモンや神経伝達物質、増殖因子など、シグナルの種類に応じて最適な受容体が使い分けられています。 さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。

-ニコイチで チロシンキナーゼ 支え合う

-近すぎて 言えない想い FRET(フレット)する

-好きという シグナルだけは 届かない

-ひとしずく 千へと広がる カスケード

-既読無視 続けば僕も 脱感作


今回紹介する図は、企業のホームページに掲載されている細胞増殖を制御する代表的なシグナルカスケードです。

























細胞表面には受容体チロシンキナーゼが存在しており、多くは2量体を形成することで機能します。増殖因子(EGFなど)が受容体に結合すると、細胞内のチロシンキナーゼドメイン同士が互いをリン酸化(自己リン酸化)し、その情報が細胞内へ伝達されます。


その後、このシグナルはRasと呼ばれる低分子Gタンパク質を介して、Raf → MEK → ERKからなるMAPキナーゼカスケードへと受け渡されます。このシグナルが最終的に核へ伝わることで、細胞周期を制御するサイクリンやCDKなどの遺伝子発現が促進され、細胞は増殖へ向かいます。


通常、この経路は増殖因子が存在するときだけ一時的に活性化され、不要になると速やかに停止します。しかし、Ras遺伝子に特定の変異が生じると、増殖因子がなくてもRasが常に活性化した状態となり、細胞増殖シグナルが止まらなくなります。その結果、細胞周期の制御が失われ、細胞は無秩序に増殖し、がん化につながることがあります。Rasはヒトのがんで最も高頻度に変異が見つかるがん遺伝子の一つとして知られています。


興味がある方は、以下のサーモフィッシャーの解説ページもぜひご覧ください。



 
 
 

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Tokyo University of Science

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