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2026年度生化学川柳第十一週目優秀川柳賞/2026Biochemistry Haiku prize week11

  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

先週は、脂質について学びました。


脂質というと、バターや植物油、肉の脂身などを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、生体内の脂質は、エネルギーを蓄えるだけでなく、細胞膜をつくり、情報を伝えるなど、実にさまざまな役割を担っています。

脂質とは、タンパク質や糖、核酸とは異なり、特定の共通構造をもつ物質を指すのではなく、水に溶けにくい疎水性の化合物の総称です。脂肪酸やトリアシルグリセロール、リン脂質、コレステロールなど、さまざまな構造をもつ分子が含まれています。

私たちが食事から摂取する動物性脂肪や植物油の主成分は、脂肪酸を含むトリアシルグリセロールです。脂肪酸は還元度が高く、酸化されると多くのエネルギーを生み出します。また、疎水性で水を伴わずに蓄えることができるため、脂肪は長期的なエネルギー貯蔵に非常に適しています。

脂肪酸には、二重結合をもたない飽和脂肪酸と、一つ以上の二重結合をもつ不飽和脂肪酸があります。天然の不飽和脂肪酸の多くはシス型の二重結合をもち、その部分で炭化水素鎖が折れ曲がります。この構造の違いによって脂肪酸同士の集まりやすさや融点が変化し、バターが常温で固体、植物油が液体であることにもつながっています。


今回のイラストでも、まっすぐに伸びた飽和脂肪酸と、二重結合によって折れ曲がった不飽和脂肪酸、そしてそれらを含む身近な食品を描いています。











脂質のもう一つの重要な役割が、生体膜をつくることです。

リン脂質は、水になじみやすい親水性の頭部と、水を避ける疎水性の尾部をもつ両親媒性分子です。水中では自然に集まり、脂質二重膜を形成します。私たちの細胞を包む細胞膜だけでなく、核やミトコンドリアなど、細胞内のさまざまな構造も脂質膜によって区切られています。

一見すると均一に見える生体膜ですが、リン脂質の頭部や脂肪酸の種類にはさまざまな違いがあり、その組み合わせによって膜の性質も変化します。生体膜は単なる「細胞を包む油の膜」ではなく、さまざまな脂質とタンパク質が協力して生命活動を支える重要な舞台です。

さらに脂質には、ステロイドホルモンのように情報を伝えるもの、ビタミンEのように抗酸化作用を示すもの、補酵素Qのように生命反応を支えるものなどもあります。

このように、脂質は「油」や「脂肪」という身近なイメージを超えて、生命活動のさまざまな場面で活躍しています。


さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。

-魚心 あっても脂質は 水知らず

-三つ編みの 脂肪を結ぶ グリセロール

-リン脂質 二重の膜で 身を守る

-頭替え 性質変わる 膜の顔

-恋焦がれ β酸化で 燃える日々


普段の食事で目にするバターや植物油、魚に含まれるDHAやEPA、そして健康診断で気になるコレステロールまで、今回学んだ脂質は私たちの生活と密接につながっています。


身近な「油」からエネルギーの貯蔵、細胞を包む膜、そして情報伝達まで。脂質の世界は、思っていた以上に多彩で奥深いものです。


次回は、脂質がつくる生体膜の構造と働きについて、さらに詳しく見ていきます。

 
 
 

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Tokyo University of Science

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