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2025年度生化学川柳第十二週目優秀川柳賞/2025Biochemistry Haiku prize week12

  • 執筆者の写真: nishinotatsuya
    nishinotatsuya
  • 7月9日
  • 読了時間: 2分

先週は生体膜物質輸送について学びました。


私たちのすべての細胞は、疎水性の脂質二重層からなる細胞膜により、外界から区切られています。脂質二重層は疎水性のため、非極性分子(二酸化炭素、酸素、ステロイドホルモンなど)はそのまま通過できますが、極性のある分子やイオン、糖やアミノ酸などは通過できません。そのため、細胞膜には特定の物質を通過させるチャネル、キャリア、ポンプなどの膜タンパク質が多数存在します。


通常のタンパク質は、疎水性のアミノ酸を内部に、親水性のアミノ酸を外部に配置して立体構造をとりますが、膜タンパク質は例外で、疎水性のαヘリックスβバレル構造を膜中に持ちます。こうした構造によって脂質環境に適応しています。また、ハイドロパシープロットを用いることで、疎水性の高い領域=膜貫通領域を予測することができます。


さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。

ナトリウム 糖も一緒に 連れてって

あの先生 チャネルなさすぎ 通れない

ただの膜? いいえ話すし 動きます

外葉に PS運び 死のサイン

水は嫌 疎水性尾部 インドア派


以下の画像は、ナトリウム-カリウムポンプの立体構造です。

このポンプは、ATPをエネルギー源として細胞外にナトリウムイオンを、細胞内にカリウムイオンをくみ出す「一次能動輸送」の代表例です。細胞内のナトリウム濃度を低く、カリウム濃度を高く保つことで、神経伝達や浸透圧調整といった重要な役割を担っています。 この輸送メカニズムの詳細は、PDB-101の「Molecule of the Month」にて解説されています。特に、ATPの加水分解に伴う構造変化によってどのようにイオンが運ばれるかが直感的に理解できます。

興味のある方は以下のリンクからぜひご覧ください。 https://pdb101.rcsb.org/motm/118

























来週は細胞シグナリングについて学びます。

細胞膜の受容体がどのように情報を伝え、細胞のふるまいを制御するのかを扱いますので、予習動画をしっかり見て準備してきてください。

 
 
 

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Tokyo University of Science

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