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2025年度生化学川柳第十一週目優秀川柳賞/2025Biochemistry Haiku prize week11

  • 執筆者の写真: nishinotatsuya
    nishinotatsuya
  • 59 分前
  • 読了時間: 2分

先週は脂質について学びました。


脂質はアミノ酸、糖、核酸とは異なり水に不溶な分子群で、その構造や機能の多様性は生命活動において非常に重要です。講義では、貯蔵脂質(トリアシルグリセロール)や膜脂質(リン脂質、スフィンゴ脂質)、シグナル脂質(ステロイドホルモンやビタミン類)など、脂質の分類とその生理的役割について幅広く取り上げました。

また、血液型に関係するスフィンゴ糖脂質についても触れました。血液型の違いは、スフィンゴ脂質に結合する糖鎖の構造の違いによって生じます。これは、それぞれの型に特異的な糖転移酵素の有無により決定され、A型にはA型酵素、B型にはB型酵素、O型にはいずれの酵素も存在しないため、もとの糖鎖構造がそのまま表れます。

日本ではA、B、O、ABの4型によって性格が語られることがありますが、その根拠が酵素の有無にあると考えると、性格を決めているのは酵素という不思議な構図にも見えてきます。もちろん、酵素に性格があるかどうかは別として、酵素の構造は既に明らかにされており、A型ではN-アセチルガラクトサミンを、B型ではガラクトースを転移するという機能の違いが生まれます。


さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。


– 膜構造 私を守る あついしぼう

– 葉にぽつり 朝のしずくと ワックス層

– わたくしの 脂肪動機は 【食べ過ぎ】です

– 必須だね リノールオレイン 記憶にin

– 僕の血に 糖転移酵素 ないみたい


どの作品も、脂質の機能や構造、日常とのつながりを巧みに詠み込んだ力作ぞろいでした。


以下の図は、血液型に関係する糖転移酵素の構造を示したものです。
















それぞれの酵素が異なる糖(N-アセチルガラクトサミンまたはガラクトース)を認識し転移することで、細胞表面の糖鎖構造が決定されます。血液型の違いは、まさにこうした酵素と糖鎖の微妙な構造差に起因しています。














このトピックに関連して、PDB-101には血液型を分ける酵素の構造と働きについてわかりやすく紹介した特集ページがあります。構造図やイラストが豊富で理解が深まりますので、興味のある方はぜひご覧ください:


来週は、海外からの特別講義として、スーザン・ツタカワ博士(アメリカ・ローレンスバークレー国立研究所)をお招きします。ネイティブスピーカーによる貴重な講義ですので、ぜひ事前に資料に目を通してしっかり予習をした上で、臨んでください。科学を国際的に学ぶ第一歩として、積極的に参加しましょう。

 
 
 

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Tokyo University of Science

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