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2025年度バイオインフォマティクス川柳・第三週目優秀作品

  • 執筆者の写真: nishinotatsuya
    nishinotatsuya
  • 10月15日
  • 読了時間: 2分

先週は配列解析の2回目として、多重配列比較(マルチプルシーケンスアラインメント)を学びました。


初回のペアワイズアラインメントでは、二つの配列間で一致している部分を最大化するようにギャップを挿入し、スコアを計算しました。複数配列の場合も基本的には同じですが、比較する配列が3本、4本と増えるごとに計算量は指数関数的に増大します。そのため、すべての組み合わせを網羅的に計算するのは現実的ではなく、累進法や逐次改善法といった効率化のアルゴリズムが使われます。


さらに、アラインメントを評価する指標としてSPスコア(Sum-of-Pairs)を学びました。これは、すべての配列ペアのスコアを合計して全体の整列の良さを測る方法です。ただし、近縁の配列ばかりが多いとスコアが偏ってしまうため、進化距離による重み付けを行い、遠縁の配列も適切に評価できるように工夫されています。


また、マルチプルアラインメントを通して得られる保存領域やモチーフは、機能に関わる重要なアミノ酸残基の発見や進化系統樹の推定にも役立ちます。講義ではClustalOmegaを用いた配列比較例を通して、保存性の可視化や系統樹についても学びました。


さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。

-時はかる DNAにも 時計あり

-似て非なる 塩基たちにも 絆あり

-無駄のない 極めしフグの 設計図

-クラスタル 照らしてわかる 類似性

-樹状図の 美しきに見ゆ 進化の轍


以下の画像は、2002年にフグゲノムが報告された際のScience誌の表紙です。

フグはイントロンが短いため、ゲノム全体がヒトと比べてコンパクトです。

イントロンの長さを比較すると、フグでは全域に渡り短縮されていることが確認されましたが、エクソン領域に大きな違いはなく、機能自体は保たれていることがわかります。

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フグは普段は小柄でも水を水を吸って大きく膨らむように、ゲノムも無駄を削ぎ落としつつ十分に豊かな遺伝法を内包していることがわかりました。


興味がある方は以下の論文を散走してください。


来週は構造バイオインフォマティクスです。

これまでは配列を扱いましたが、立体構造は三次元情報になるので、その取り扱いや解析方法を学んでいきましょう。


 
 
 

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Tokyo University of Science

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