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2025年度バイオインフォマティクス川柳・第一週目優秀作品

  • 執筆者の写真: nishinotatsuya
    nishinotatsuya
  • 7 日前
  • 読了時間: 2分

9月より、1年生向けのバイオインフォマティクスの授業が始まりました。


初回は科目の全体像を紹介するとともに、科学を学ぶうえで欠かせない「論文」と「総説」の違いについて解説しました。論文は新たに得られた実験や観察の成果を発表する一次情報で、研究者自身のオリジナルな知見が含まれています。一方で総説は、複数の研究成果を整理・比較し、現在の研究の潮流や未解決の課題を明らかにする二次情報です。学生には、教科書に書かれている知識がどのように積み上げられてきたのか、その背景を理解してもらうことを目的としました。


続いて、講義の基盤となる細胞や分子生物学の基礎を復習しました。細胞の構造や役割を改めて確認し、DNAに刻まれた遺伝情報がどのように複製・伝達され、タンパク質合成へとつながるのかといった流れを振り返りました。これらは一見すると高校内容の繰り返しですが、バイオインフォマティクスのツールを正しく使いこなすためには欠かせない基礎です。


次回以降はいよいよ具体的な解析手法に入り、配列解析を中心に実践的な学びが始まります。


さて、毎年恒例のバイオインマティクス川柳ですが、先週の優秀川柳は以下の5句です。

  • 一文字が 未来を変える 塩基かな

  • Gene太郎 「TTAT」 流行るかな

  • 夜露咲く 桃色吐息(ペチュニア)の花 ナス科だね

  • 査読越え 知識はやがて 教科書に

  • 論文で 世界を変えろ 理科大生


学生の皆さんが、これからの学びを通して、将来は世界を揺さぶるような研究成果を一緒に生み出してくれることを期待しています。


川柳の中にも登場したペチュニアについて論文を紹介します。

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紫陽花の色が土壌のpHによって変化するのはよく知られていますが、ペチュニアでは細胞内の液胞の酸性度が花の色を大きく左右します。2014年に Cell Reports に掲載された研究は、液胞膜に存在する二種類のP型ATPアーゼが協調して液胞を過酸性化し、その結果として色素の安定性や発色が決定されることを明らかにしました。つまり、花の色は遺伝子だけでなく細胞内環境との相互作用によって生み出されるのです。

より詳しく知りたい方はぜひ原著の論文にアクセスしていただきたいです。


このように、身近な花を対象とした研究からも、分子レベルでの仕組みが次々と解明されています。日常の中の素朴な「なぜ?」が研究テーマとなり、やがて論文として世界に発表されることは大きな刺激となります。皆さんも、身の回りで芽生える小さな疑問を大切にしながら学びを深めていってほしいと思います。

 
 
 

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Tokyo University of Science

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