2024年度生化学川柳第四週目優秀川柳
先週はタンパク質の立体構造について学びました。
タンパク質の構造はアミノ酸配列によって決まりますが、どのように折りたたまるかはこれまでの実験的な解析結果に基づいていました。しかし、多くの立体構造が決定され、大規模なゲノム解析により多くの生物に保存されているタンパク質の重要な部分とそうでない部分が明らかになりました。これにより、配列と構造を大規模に解析することで、構造が決定されていないタンパク質の構造も予測できるようになりました。
AlphaFold(AF)はGoogleのDeepMind社により開発された人工知能(AI)プログラムを用いてアミノ酸配列からタンパク質の立体構造を予測するツールです。2020年にAF2の開発が発表され、2021年にNature誌で論文が報告されました。AF2は非常に高い精度を持ち、ソースコードが公開されていたことから、様々な論文でタンパク質の立体構造予測に使用されています。現在、AlphaFold Protein Databaseには、Uniprotに登録されているタンパク質のうち、AF2で構築された2億個の立体構造が登録されています。
先週の5月8日に公開されたAF3は、AF2では難しかった核酸(DNA/RNA)やイオン、化合物との複合体構造予測が可能になりました。
実際にタンパク質DNA複合体の予測を行ってみたところ、これまでGoogle Colabでは数十分かかっていた予測が数分で終了しました。得られた構造も精度が高く、部分改変や追加変更なども容易に修正できるようになっていました。AF3の登場により、あらゆる生体分子の立体構造が予測できる時代に一歩近づいたと感じます。
さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。
-タンパク質 橋を架けると 安定化
-ペアワーク 結合よりも 強い絆
-髪構造 分かっても勝てない 湿気には
-羊毛の 伸縮の謎 二次構造
-βターン きれいに返す プロだから
以下、AF3の予測サーバーです。
興味がある方は試してみてください。
Comments