2024年度生化学川柳第十三週目優秀川柳
先週はバイオシグナリングについて学びました。
生命が正常に機能するためには、細胞外の環境変化を細胞内に伝え、細胞内の局所的な変化を適切に伝達し応答することが重要です。この過程をシグナリング(シグナル伝達)と呼びます。
例えば、アドレナリンは副腎から血液中に分泌されるホルモンで、心拍数や血圧の上昇につながります。アドレナリンは日本の高峰譲吉によって名付けられ、助手の上中啓三と共に、ウシの副腎から抽出され、1901年に結晶化に成功しました。同時期にはアメリカのエイベルが羊の副腎からほぼ同じ物質を抽出し「エピネフリン」と名付け、ドイツのフェルトがブタの副腎から抽出し「スプラレニン」と名付けました。日本や欧州では「アドレナリン」、アメリカでは「エピネフリン」という名称が使われています。名前の違いはありますが、その重要性は変わりません。アドレナリンは心停止やアナフィラキシーショック、喘息の発作に対して即効性があります。
アドレナリンのシグナリングは次のように進行します。細胞膜上に存在するアドレナリン受容体にアドレナリンが結合すると、Gタンパク質が活性化されます。この活性化されたGタンパク質はアデニル酸シクラーゼを活性化し、ATPをサイクリックAMP(cAMP)というセカンドメッセンジャーに変換します。cAMPは様々なタンパク質を活性化し、その中でも特にプロテインキナーゼA(PKA)を活性化します。PKAは細胞内の様々なプロセスを調節し、グルコースからエネルギー物質であるATPを合成し、筋肉の収縮や気管支の拡張を促します。
アドレナリンはカテコールアミンという化合物に分類され、チロシンから合成されます。中間物質としてドーパミンやノルアドレナリンがあり、それらもホルモンとして作用します。
下の写真は明治35年に販売されていた塩化アドレナリンのバイアルです。
さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。
–エピネフリン シグナル持続 アドレナリン
–君の愛 ぼくが受けるよ 受容体
–反応の 足が広がる カスケード
–勉強で 得たシグナルを 伝達せよ
-生化学 成果が来るよう 仕上げてく
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