2023年度生化学川柳第十週目優秀川柳賞/2023Biochemistry Haiku prize week10
先週は前回に引き続きDNAについて学びました。
DNAは遺伝情報の正体であり、すべての生命はDNAの塩基配列によって決まっています。
塩基配列の並び順を解明するプロセスは様々な技術の組み合わせで成り立っています。
これらの技術の多くは生物に元々存在する酵素を利用しています。
たとえば、PCR反応で使用されるDNAポリメラーゼは、好熱性細菌や古細菌に由来する酵素であり、
通常は遺伝情報の複製や修復に使われています。
私たちの研究室では、さまざまな生物のタンパク質の構造や機能を調べるために、遺伝子の組換え技術を使用しています。PCR反応による特定の遺伝子を増幅するだけでなく、制限酵素やDNAリガーゼも使用しています。
DNAリガーゼは、二重鎖塩基の末端を結合する酵素であり、これがなければ複製が完了しません。
制限酵素は、微生物などの原核生物が持つウイルスに対する防御応答システムの一部であり、
特定の塩基配列を認識して切断します。
これらのツールを上手に活用することで、これまで謎に包まれていた遺伝子の機能や構造を解明できます。
近年話題となっているCRISPR/Cas9も、本来は細菌の防御応答システムの一部で、それを応用することでさまざまな生物のDNA編集が可能になりました。
今後もさまざまな新しい技術が開発されていくでしょうが、重要なのは個々の生命現象や遺伝子の働きをしっかり理解することです。私たちも日々研究を進め、新たな技術を提供できるように努力していきます。
さて、先週の優秀川柳は以下のとおりです。
–オリジンは ハプロタイプで 丸わかり
–リガーゼは 末端繋ぐ 接着剤
–理解した PCRの プロセスを
–黒歴史 制限酵素で 切り取りたい
–LINEから 転移してくる メッセージ
補足情報:
ハプロタイプは個々人で異なる塩基配列
LINEは特定の塩基配列の繰り返し
今回はBingImageCreatorでAI画像生成を試してみました。
Comments