2022年度第7回バイオインフォマティクス川柳優秀作品発表/2022Bioinformatics 7th week Haiku Prize
先週はエピゲノム、メタゲノム、パスウェイ解析を学びました。
一卵性双生児は遺伝子配列が全く同じで見た目も似ていますが、
エピゲノムに違いがあるため、遺伝子の発現量に影響します。
違いのもとは染色体を構成するヒストンタンパク質の翻訳後修飾とDNAのメチル化修飾です。
メタゲノムは環境中の微生物など培養が難しいものや、先日紹介した古代人ゲノムの解析です。
得られたサンプルを単離、培養することなく取り扱うため、様々な夾雑遺伝情報を含んでいます。
その中からどのような遺伝情報が存在するのか、サンプル中にはどのような生物種が存在するかを解析します。
パスウェイ解析は遺伝子間の相互作用や、代謝産物の生成分解経路です。
私達は日々外界から取り込んだ栄養成分を分解して、新たな化合物を合成しています。
通常一つの酵素で完結することは稀で、様々な酵素や経路が入り乱れています。
経路のつながりや強さによって特定の化合物が多く(少なく)合成されることや、
今までできていた化合物ができなくなることがあります。
このようなパスウェイには先ほど紹介したエピゲノムも大きく関わってきます。
先週のCell紙には、特定の蚊はなぜ人を刺すのか、また蚊に刺されやすい人はなぜ生じるのかという報告がありました。
ヒトは特定の揮発性アルデヒドやケトンなどのカルボン酸を分泌し、ヒトを刺す蚊は進化の過程でそれらの化合物に対する受容体を獲得してきたそうです。興味深いことに、蚊の受容体を破壊すると、人と他の哺乳類を区別できなくなってしまいます。また蚊に刺されやすい人はカルボン酸の分泌が多いようです。代謝や栄養摂取をコントロールすることでかに刺されにくい体質になれるかもしれません。
さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。
ノードから エッジに向けて ひとっ飛び
パスウェイで 導く 未知の関係性
集団を まとめて解析 メタゲノム
マップ見て 思う代謝の 複雑さ
ペアワーク 素敵な出会い ありがとう
後期のバイオインフォマティクスも先週で講義が終了しました。
2年生の皆さん、4月の生化学から続いてきたペアワーク、お疲れ様でした。
お互い良い出会いに恵まれて、今後に生かされることを願っています。
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