2022年度第5回バイオインフォマティクス川柳優秀作品発表/2022Bioinformatics 5th week Haiku Prize
先週はゲノム解析を学びました。
生命の遺伝情報がDNAであることが判明してから約70年が過ぎ、
それ以降様々な塩基配列情報決定方法が開発され、多くの遺伝情報が解読されてきました。
大きな進展はノーベル賞を2回受賞したフレッド・サンガーによるサンガー法、
もう一つは次世代シーケンス法です。
これらの技術革新のおかげで、今では10万円以内で個人のゲノム情報を読み取ることが可能です。
解読された配列も、そのままでは単なる塩基の並びの情報です。
何処にどのような意味があるかを調べるためには情報解読が必要です。
そのため、以前より学んでいる配列情報解析が必要になります。
遺伝子がどこにあるのか、その配列は他の生物と比べてどの程度似ているのか違うのか。
またヒトでは遺伝子のアミノ酸をコードしている領域は全体の数%のため、他の領域の解析も重要です。
現存している生物の塩基配列情報だけでなく、
古代人と現代人の違いに着目した古生物ゲノム解析は今年のノーベル賞受賞対象研究分野です。
化石中の骨からDNAを取り出して、遺伝情報を解析するという独創的な研究内容が評価されました。
私達ヒトがどこから来て今に至っているかを知るには古代人の遺伝情報との比較が重要です。
月日の経過で遺伝子の損傷や破壊が蓄積し、採取した現代人のDNAが混じっているサンプルから古代人の遺伝情報を再構築するのは大変です。
多くの困難を乗り越えた先にようやく比較が可能になりました。
下の図はノーベル賞委員会のホームページに記載されているものです。
ゲノム配列の比較から、絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人のDNAが現代人に残っているということがわかりました。人種によって残存するDNAの割合が違うこと、新型コロナに対する耐性や体質の違いも説明できるため、今後ますます解析が進むものと思われます。
さて、先週の優秀川柳は以下の5句です。
サンガー法 NGSの その先へ
また登場 全然隠れん マルコフさん
先人の データが紡ぐ 三十億
比較して 先祖をたどる 元を知る
類似性 ドットプロットで 浮き上がる
来週も楽しみにしています。
Comments